ワールドブランドから理化学研究者までが頼る「ガラスの魔術師」の技術力

ワールドブランドから理化学研究者までが頼る「ガラスの魔術師」の技術力
ここがキニナル!

おとぎ話の世界に出てくるガラスの靴。そんなのないない……って、ありました!ガラスで何でも作ってしまう魔術師がいると聞いて、さっそく桐山製作所の桐山時男代表にお話を聞いてきました。

ガラスで何か作りたい、というときに相談される人

うちでは、おもに理化学実験用のガラス器具を作っています。これがカタログですが、かなりの数があるんですよ。
そう話すのは理化学実験器具を中心としたガラス製品を手がける桐山製作所の桐山時男代表。
日々注文があるのは、小学校や中学校の理科の実験で使うようなものシンプルなものではなく、大学で使うようなかなり複雑で精密さを要求される実験装置だそう。ガラス製品ならではの難しさや苦労もありそうです。

まず、ガラスなので割れるわけですよね。割れやすいものだからこそ、丈夫に肉厚に作るということが大事です。同時に、比較的、使いやすい、あるいは液が自然に流れるような形に作るとか、そういうことは常に気を付けて設計と製作を行っています」「実験などに使う気管ガラスを作る職人と研究室などの現場との距離感がものすごくあるんです。ですから、実際の使われ方を見たことがなかったり、知らなかったりします。それをうちでは、実際の使われ方とか、使ったときの不具合がないかとか、そういうことを職人自身が検証しながらものを作っていくというのが最大の特徴かもしれませんね。
どんな液体を使って実験をしているかということは、企業秘密もあってなかなかわからないそうです。そのため、蒸留とは何か、反応とは何か、ということを自分自身で勉強しながら作っていくそうです。そのおかげで使いやすいと評価される製品ができるそうです。
新聞の株式欄ってあるじゃないですか。業種別に、鉄鋼、精密とか。あの中で、うちの顧客に入らないのは、金融とかサービス業くらいで、それ以外はほとんどの業種で当社の製品が使われています。
顧客には、企業の研究所や研究開発部門が一番多く、その他には理工系の大学や、農林水産省など国の機関など。
大量注文なども多そうですが。
大量注文よりも種類が多いんです。少量多品種ですね。
意外でした。高い技術を持った職人さんがいらっしゃらないと対応できないですよね。
テレビでも桐山製作所さんのガラス製品が見られることは多いそう。
ドラマの実験室などのシーンでは当社の製品がよく登場しますし、広告宣伝用のガラスの靴やおしゃれな形をしたガラスのティーポットとか、ほとんどが一点物です。ほかには料理番組で使われたガラスの丼があります。ご飯をよそってお汁をかけますよね。天丼とか、その時にお汁のしみ込み具合を横から撮りたいということで。
制作会社や美術さんの間では、ガラスで何かを作りたい、となったらまず桐山さんに相談しようということになっているようです。
顧客の要望に応えて、さまざまな一点物のガラス製品を作ってきたそうで、世界的に有名なブランドの人形の服や、チェスセットなど、本当に製品の幅が広いですね。
ガラスの理化学実験装置を作る技術を使えば、ほかのものは大抵作れるんですよ。
本当にいろんな特注のガラス製品の実績を伺いましたが、その中は、テレビで見ていた印象的なCMなんかで使われていた小道具だったり。
実際に発注した顧客はどういう反応をされるのでしょうか。
使いやすいと言っていただけることは多いです。あと、地震の時にテーブルから落ちて、他のメーカーのものは壊れちゃったけど、桐山さんのところのものは壊れなかったよというお話をいただいたり、なかなかうまくできない実験がうまくできましたというようなこととか。
すばらしいですね。
でも、前例や見本がないので、想像と違っていたという場合もあるんですよ。そういうときのフォローが難しいですね。修正できるものは修正します。修正できないようなものは0から作りかえということもあります。
そのため、打ち合わせがかなり大切だそうです。
実験装置なんかについては、納品時よりも、それを使って価値ある結果が得られたときなど、それはもう本当に喜んでいただけますし、こちらもうれしい気持ちでいっぱいですよね。
そうやってブランドができあがっていくんですね。
すべて製品が自社ブランド、桐山ブランドで出していますから、間違ったものが出せない。その点、実験がうまくいったとき、正直一番うれしい気持ちです。あとは、リピートにつながったりとか。
桐山ブランド、私も好きになってきました。
そんな桐山製作所さんは、桐山社長のお父さんが創業社長で、桐山社長が二代目です。ちなみに、お父さんは技術部長として現役で活躍されています。
父ははじめ、着物の紋を描く仕事に就いていました。戦争が激しくなってきて、そういう平和産業は難しくなるよということで、今度はお茶の水の製図学校に行ったんです。紋を描くのと製図のやり方は同じところが多く、経験者だと思われたそうです。そこで製図の基礎を学んでいるので、今使っているうちのカタログの図面は、すべて手書きで技術部長である父が製図の技術で作成したものなんです。

 

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