やりたいことはやりたいときにやる
―― これまでの良い思い出などは？
イタリアの２家族をUSJまでお乗せして、片方の家族のお父さんがコンラッドホテルの支配人一家だった縁で、桜の時期にコンラッドホテルと一緒に「アフタヌーンティー」のコースを開催できたことですね。フランスフレーバーティーの「Hone-the（オネテ）」さんには、毎年の桜の時期に「アフタヌーンティークルーズ」を行っていただいています。
コロナが発生した当初のことですが、室蘭、東京（屋形船）、横浜、大阪、高松のナイトクルーズをZOOMでつなげたんです。コロナ禍で港が暗くなっていたので、少しでも明るくなればという思いでした。その模様をヴェネツィアの方々にも見ていただきました。
大川での「サプライズ花火」のときも出航するようにしています。淀川の花火大会は、火の粉が舞ってくるほど目の前から上がり、怖いほど大きな花火を見られます。
コロナが発生した当初のことですが、室蘭、東京（屋形船）、横浜、大阪、高松のナイトクルーズをZOOMでつなげたんです。コロナ禍で港が暗くなっていたので、少しでも明るくなればという思いでした。その模様をヴェネツィアの方々にも見ていただきました。
大川での「サプライズ花火」のときも出航するようにしています。淀川の花火大会は、火の粉が舞ってくるほど目の前から上がり、怖いほど大きな花火を見られます。
―― 起業するのに苦労したことは？
私は周囲の人に恵まれているんです。国交省への届け出もきちんとフォローしてくださる方がいました。ただ創業資金には苦労し、「創業支援ファンド」に参加しました。このときはセミナーの最後にプレゼンをする機会をもらいました。ヴェネツィアの水上交通を大阪で実現できること、大阪でEXPOが行われること、海上空港（関西空港・神戸空港）があること、IR・カジノができることなど、ヴェネツィアと同じ条件が揃うので、「観光水上都市」を目指すことができるとプレゼンして、投資会社さんに認めていただきました。ヴェネツィアでは、川辺でもカーニバルが行われたり、マーケットが開かれたりしますので、大阪も官民一体で観光水上都市・大阪を盛り上げていきたいですね。
船は大川から東横堀川、そして道頓堀川へと進む。地上から見慣れた「グリコ」の看板や人たちの喧騒も川から見るとまったく違う。目線が下がるだけで視界が広がるように感じる。
―― ダゼロという社名の由来は？
―― ダゼロという社名の由来は？
Dazeroはイタリア語で「ゼロから」という意味です。大学を中退して料理の道を志してイタリアに行ったのも、ゼロからの出発でした。帰国して船の事業を開始したのもゼロからの出発です。2022年２月から開始している蜂蜜の事業もそうです。蜂蜜事業では、ベトナムとタイに日本の蜂蜜を持っていきたいと考えています。
今、大阪府岬町とお話をしていて、岬町から関空や洲本（淡路島）や瀬戸内まで行くことが実現できるかもしれません。
私のモットーは「やりたいことはやりたいときにやる」です。親友が白血病で亡くなるという哀しいことがあり、それまで迷っていたことを振り返らずに前を向くことを決め、それでイタリアに行く腹を決めました。７年間いたヴェネツィアを去るとき、イタリアの友人に「イタリアに来たきっかけは友人の死かも知れないが、この７年間はあなたが自分でやってきたこと」と言われて、気持ちが救われました。
今、大阪府岬町とお話をしていて、岬町から関空や洲本（淡路島）や瀬戸内まで行くことが実現できるかもしれません。
私のモットーは「やりたいことはやりたいときにやる」です。親友が白血病で亡くなるという哀しいことがあり、それまで迷っていたことを振り返らずに前を向くことを決め、それでイタリアに行く腹を決めました。７年間いたヴェネツィアを去るとき、イタリアの友人に「イタリアに来たきっかけは友人の死かも知れないが、この７年間はあなたが自分でやってきたこと」と言われて、気持ちが救われました。
私は生まれも育ちも大阪の人間だが、今回、山本さんに「大阪は『水上都市』」と言われて、新たな発見ができた。大阪のキタからミナミという目抜きの通りを水上で移動することの優雅さと豊かさと楽しさを身をもって感じた。ヴェネチア製のボートも山本さんの操舵姿も格好いい。以前乗った「大阪水上バス」にも多彩なメニューはあるが、ダゼロ号のようにデザインされた船でスタイリッシュに水上移動を楽しめるという差別化も際立っている。普段、私は「DOよりもBE」と志の大切さを伝えているが、山本さんを見ると、「DO」も大切だと思う。アクションがなければ何も残らないからだ。
EXPOやIR・カジノなどの新展開が直前に迫る大阪で、「楽しく豊かに移動すること」はこれまで以上に重要な要素となるだろう。湊町で下船した後、ミナミのディープなホルモン焼き屋「かどや」でビールを飲んだ。これも大阪ならではだ。
これから大阪がホンモノの「水上都市」から「水上観光都市」となっていくことを応援していきたい。
山本浩司
1971年 埼玉県さいたま市生まれ
1994年 大学を中退し、片道切符で単身イタリアへ。ヴェネツィアを拠点にレストラン・バールでコック・バリスタの業務を７年間経験
2001年 帰国
2005年 ロック・フィールド入社。ＶＭＤ担当として活躍
2018年 ダゼロ株式会社創業 大阪水上観光事業を立ち上げ
2022年 フランスアルザス地方の非加熱・天然蜂蜜の販売開始
【著書】『ヴェネツィアの空の下』（2006年、文芸社）
