ワールドブランドから理化学研究者までが頼る「ガラスの魔術師」の技術力

ワールドブランドから理化学研究者までが頼る「ガラスの魔術師」の技術力

幼いころからの趣味はミニチュアの車

 

カタログにある美しい図。これらがCADを使わずに全部手書きだなんて。
父は製図学校から、今度は陸軍の登戸研究所(明治大学生田キャンパス)というところに勤めたんですが、そこは研究所ですから、こういう化学の実験部屋があって、ガラス器具を使っているわけです。その中でガラス器具を修理したり作れる人が欲しいということになったらしいんです。当時、うちみたいな民間の会社で1年間、技術を習得してきてほしいということで外に出されたんですね。それが理化学ガラスと接した最初ですね。
そのうち終戦となって職を失いました。東京大学に行く機会があって、偶然、薬学部からフラスコなどのガラス製品が見えたんです。そこで、自分はこういうものを作ったり直したりできるとアピールした。そしたら、やってくださいと言われた。それで東大の学生さんが使うものを作ったり、修理したりすることをやり始めたわけです。
偶然が重なっていますね。
その後は、大学を卒業した人たちから父のところに注文がくるようになったんです。注文が増えてきて、いつまでも大学の中で商売をしているわけにはいかないですから、独立したんです。
きっと品質が高かったのだと思います。

3年前、お父様から受け継いだ後、苦労されたことはありましたか?

代表になる前に工場長をずっとやってきたんですが、やっぱり新しい製品を作ったり、方向性をもっとはっきり出していかなければなりません。それを実現するのが難しいですよね。
新たに始められたことなどはありますか?
たとえば展示会で、蒸留装置を抽選で無料配布したりしました。
蒸留装置を無料で配布! 反響はどうだったのでしょう。
すぐに売上げが上がるというようなことはなかったのですが、TwitterとかFacebookでの書き込みなどが増えたり、多少変わってきました。
これはつけペン用のインク壺です。漫画家の方が、従来のものではインクがこぼれたり使いにくくてストレスを感じていたんです。そこで、提案したら喜んでいただいて、SNSで拡散しました。Twitterで『コニック瓶』と検索していただくと出ます。
見た目が美しいインク壺。インスタ映えしますね。

桐山さんは、こんな美しいガラス製品たちに囲まれて育ちました。そして、幼いころから、常に仕事の内容や工作風景を見て、自然に自分もやりたいと思っていたそうです。
魅力のある仕事だということは子供なりにも感じていました。

ちなみに、桐山社長の幼いころからの趣味はミニチュアの車とのことで、コレクションの一部は最近始めたInstgram「tokio kiriyama」で眺めることができます。細かい加工など、ガラスの仕事に通じることがあるようです。

ガラス製品の世界での実績は十分に思える桐山製作所さん。
これから開拓していきたい分野などはあるのでしょうか。

アーティストというか、作家さん、あるいはデザイナーさんとのコラボをやりたいですね。いろいろなシーンで。たとえば、これは前菜を入れるための器なんですが、星野リゾートさんの箱根で使われているガラスなんですよ、三段重で。こういうものの発想とか、こういうものをやっていきたいなと思いますね。こういう発想をしてくれる人や、うちで発想したものを現地でプロデュースしてくれるような人とは接点をもちたいです。
どんどん新しいものが生まれていきそうです。ガラス製品にしか出せないようなキラキラした魅力は、クリエイターの発想を刺激して人々を引きつけるはずですね。
そんな桐山製作所さんで働きたいという人は多いのではないでしょうか。
ガラス工芸の学校の出身の人とか、大学でうちの製品を使っていた人など、縁があった人が来てくれていますので、うちから求人を出すことは滅多にありません。

 

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