ハワイに行ったことがなくてもハワイアンジュエリーを愛したくなるお話

ハワイに行ったことがなくてもハワイアンジュエリーを愛したくなるお話

初めてハワイアンジュエリーを買う人へのアドバイス

 

――初めてハワイアンジュエリーを買う人へのアドバイスはありますか。

ハワイアンジュエリーに限りませんが、それを贈りたいと思った理由を贈る相手に語れるものを選ぶといいでしょう。たとえば、こういう女性でいてもらいたいという思いをこめて、このジュエリーを贈ります、というようなメッセージの意味が相手に理解されたら、きっといつまでも大切にしてもらえるでしょう。
その瞬間に、そのジュエリーは、単なる物ではなくなりますね。
――おお、すてきな言葉ですね。ハワイアンジュエリーを買うお客様は、具体的に、どんな疑問や不安をもっていらっしゃるのでしょう。
まずは、そのファッション性だけで選ぶような、言ってみればライトなお客様。ネットで調べて、その模様の意味を知って気に入ったデザインのものを直感だけで選ばれたりします。もちろん、そういう楽しみ方のあります。そういう人は、不安は少ないようです。
結婚指輪など、人生の節目などに、もう少し慎重になってハワイアンジュエリーを選ばれるお客様は、確かに、それが本当にいいものか、このお店や販売担当の人は信用できるのか、メンテナンスはちゃんとしているのか、といった疑問や不安を持たれると思います。そういう意味で、いろいろなお店で見比べているような方が、プアアリを選んでくださっています。
――数千円で買えるような安いハワイアンジュエリーというのは、本格的なものとは、どこが違うのですか?
安い物は、マスターピースの型から複製して、磨いて仕上げています。
――やはり、安いのには理由があるんですね。でも、松尾さんは、その安い物を否定しません。
安い物からでも、入門的にハワイアンジュエリーに親しんでいただければと思います。
それに対し、伝統的なハワイアンジュエリーというのは、基本的には、一本一本、手彫りで仕上げていきます。
もう少し詳しく説明すると、複製で作られるハワイアンジュエリーは、鋳造(ちゅうぞう)品といって、溶けた金属を型に流し込んで作られます。一方、伝統的な手彫りのハワイアンジュエリーは、鍛造(たんぞう)品といって、金属の棒を叩いて曲げて指輪などになるわけです。
――鋳造と鍛造には違いがあるのですか?

鋳造と鍛造では、金属の硬さが違います。鋳造は、刀の例でいえば、刀のかたちをした型に、金属を流し込んでいくようなイメージです。鍛造は、日本刀のように、金属をカンカンカンカン叩いて作っていきます。
できあがったものの見た目は同じですが、鍛造で作られた日本刀はスパーンと切れますが、鋳造の刀はヘニャッと曲がってしまいます。また、鋳造品は金属が柔らかいので、模様が消えやすいという特徴があります。日常生活の中で、気がつかないうちにぶつけてしまうことがありますよね。特にシルバーは柔らかく、1〜2年経つと、模様がほとんど消えてしまうことがあります。鍛造で作ったものは、硬い金属にしっかりと彫ってありますから、5年経っても10年経ってもちゃんと模様が残っています。保ちが全然違うんです。見た目では区別しにくくても、長く使ってみて初めて違いがわかります。
常に身に着けるようなジュエリーは、すぐ変形してしまい、直さなければならないものより、保ちのいいものを持っていたいと思う人が多いのではないでしょうか。
――なるほど、わかりやすいです。長期的に見たときに、品質の違いがはっきりするのですね。でも、それについて問題もあるようですね。
学生さんでも買いやすい低価格で、ハワイアンジュエリーを楽めるのは良いことですが、鋳造品なのに鍛造品と同じ値段で売っているようなブランドもあるので、問題だと思っています。大量に複製するために、コストを下げる方法として鋳造という技術が生まれたのに、その技術を利益を上げるために使っているメーカーもあるんです。
このときだけは、穏やかな印象の松尾さんの表情が、少し厳しくなったような気がしました。
そんなことをしていたら、鍛造で時間、手間暇をかけた本物のハワイアンジュエリーの価値が間違って伝わっていってしまいます。
――では、もし、ちゃんとしたハワイアンジュエリーを選びたければ、私たち素人はどうしたらいいのでしょう。
 
ハワイアンジュエリーを選ぶ時のポイントを教えてもらいました。
長く使っていきたいのであれば、鍛造で作られているのか、鋳造で作られているのかどうかを聞いてみてください。でも、販売員がそういった違いをわかってないお店もあります。
それで、販売員さんがしっかりしているかどうかも見抜けるわけですね。ごまかされないようにしたいです。

ご自分で見分けるポイントとしては、まず、模様の密度を見ることです。指輪やネックレスに彫り込まれている模様の密度が詰まっているか、スカスカなものではないかどうか。
20年ほど前、ハワイアンジュエリーが大流行して、ハワイのお土産としてみんなが買ってきた時期がありました。そのころ、ハワイアンジュエリーを短時間で少しでも多く量産できるように、模様がシンプルになったんです。模様を簡単にすることで、ハワイアンジュエリーは早く作れるようになり、低価格になりました。だから、良し悪しを見るなら、模様の密度を見るのがいいんです。
じつは、安く売られているハワイアンジュエリーの中には、『ホノルル直送』と書いてありながら、実際には中国で大量に作られているものがあります。中国で作ったものをハワイに持って行くと、ホノルルに買いつけに行った日本の雑貨屋さんなどが買って、日本でそれを売るわけです。ハワイで買ったものだから『ホノルル直送』であることはウソではないのですが。
――なるほど。確かにウソではないですね。「Made in Italy」と書かれたトマトの缶詰の中身のほとんどが中国産だということに似ていますね。
2つ目のポイントは、彫りの深さです。これも同じ理由で、浅く彫るほうが早く彫れます。サラッと彫っているのか、深く彫っているのかをチェックしてみてください。
僕たち専門家は、彫刻刀で金属を彫った面積の一番奥を見ると、良し悪しを見分けられます。コピーしていない商品は、ちゃんと彫刻刀で彫っているので、彫った溝が光っています。でも、型を取ったものは、鋳造から上がってきた段階は表面がザラザラしています。それを磨いてきれいにするのですが、奥の方は磨けないため、光っていないのです。だから、一番深いところを見ると、コピー商品かどうかがわかります。このことを知っていれば、一般の方でも見分けられます。
――そうなんですね!奥の光が鈍いかどうか、つまり、スパッとなっていて、ピカッとなっているか、今後は注意して見てみたいと思います。

 

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