シングルマザーのお金や生活の不安によりそうFPがいた

教育費の問題、仕事の問題

シングルマザーのお金や生活の不安によりそうFPがいた
 

――行政には、知らない人が多くて驚かれるような制度もあるのでしょうか。
お子さんが発達障害という方がいて、ひとり親家庭がもらえる児童扶養手当というスタンダードな手当て以外に、ひとり親とも関係なく、障害児をお持ちの方に出る特別児童扶養手当というものがあります。「特別」が付くか付かないかで、名前が似ていて紛らわしいですよね。その2つの手当ては、じつは併給できるんです。ひとり親の方で、児童扶養手当をもらっているし、障害者手帳もないから、なんだか名前も似ている特別児童手当はもらえないだろうと思っている方が多いようです。特別児童扶養手当は、手帳の有無に関わらず判定されるものですから、申し込むだけ申し込んでおいたほうがいい、併給できるのだからと話すと、知らなかったと言われます。
――そういうことは、ちゃんと調べることをしないと分からないですね。
それだけで月額3万と大きいですから、びっくりされる方も多いですね。あとは、返さなくていい給付型奨学金も、ひとり親世帯が対象のものもあれば、小学校中学校から申し込めるものもあり、それも知らない方が多いです。家計の中で教育費は大きいのですが、そういったものに申し込めば少し負担を軽くすることができるから、要件が合えば申し込みましょうと言うと、知らなかったと言われます。

※注)特別児童扶養手当の月額は1級52,200円、2級34,770円(平成31年4月1日改定)

「特別児童扶養手当について」(厚生労働省)より

 

――教育費の問題は大きいですね。
お子さんがまだ小さいと、先のことを意識していない方も多いのですが、一緒に教育費を計算してみると、こんなにかかるのかとびっくりされます。ひとり1千万円ほどかかるわけですが、とてつもなく遠い数字を突きつけられたように感じて、普段の生活をしながらどうやってそんな大金を確保すればいいのか、と目の前が真っ暗に。
――お仕事を探すのも大変ですよね。
皆さん、何らかのお仕事は見つけていらっしゃいますが、働きはじめたら家庭との両立が難しくて辞められる方もいますし、なかなか正社員に就かれている方が少ないのが現状です。
――子どもが小さいとパートしかできなかったり。
私自身、ずっと正社員ではなくて、非正規で子育てしていました。当時は2000年問題というのがあった頃で、残業がすごく多くて子育てとのバランスが取れないから、子どもが小学校へ入るのを機に転職したんです。お給料の問題だけではなく、ヘトヘトでしたから、これを長く続けるのは無理だという状況でした。そういう状況のシングルマザーさんも多いです。頑張ってみたけどきついから働き方を考えたい、転職をしたいけどどうだろうか、というご相談も受けます。
――働き方改革の影響で、昔に比べれば女性の働きやすさも改善されているでしょうか。
それは感じます。ほんの数年前までは、パートや契約社員で働きつつ、生活が厳しいから夜や土日も働いている方がたくさんいました。最近は副業可の会社もありますので、ものを書いたり、物作りをしてどこかで売ったりするような、家でできる副業をする方が増えました。今まではお金にならないと思っていた部分に目が向けられていた感じで、可能性が広がっている感じはします。
――今までに受けた相談で、覚えている感謝の言葉は?
離婚後に体調が悪くなり、当初考えていたように働けなくなった方がいたんです。私自身の体験も踏まえて、無理しない働き方を強くお勧めして、家計管理を少し見直しました。高校生のお子さんがいて、ご主人が高収入だったので学費の高い私立の学校に行っていたのですが、そういう学校では奨学金の制度があっても申込者がいないことが多いので、説明会も開いていなかったりするんですね。だから奨学金の知識を全然もっていなかった。そこでそれをお伝えして動くことができ、無事に給付型奨学金をもらえて、国立大学の授業料免除ももらえました。お仕事も、家からも近く、身体に無理のない働き方ができるようになって、勤め先からも体調がよくなったらもっと勤務日を増やしてよと言われて頼りにされているそうです。その方からは、適切な情報をもらえて後押ししてくれてよかった、少し未来が明るくなったというメールをいただきました。
――家計の見直しでは、どんなことがポイントになるのでしょう。
お子さんが小さい方は、まず教育費のプラン表をその場で作ってもらいます。いつどれくらいの教育費がかかるのか、お子さんが複数いると年収を上回るほどのボリュームのゾーンがあることがわかったりします。それを見ると、いつまでにどれくらい貯めておいたらいいかが分かるので、そこから逆算して、年にどれくらい貯金していけば目標達成できるかを認識していただき、それを元に家計を見直します。人それぞれこだわりのある部分が違うので、妥協点を見つけるところがポイントで、こだわりのある部分は膨らませ、ご自身でも使いすぎていると感じる浪費があれば、そこをスリムにしていきます。
――そういう計画って調べるのもおっくうだし、なかなかひとりでは立てられないですよね。
やらなきゃとおぼろげに思っていても、忙しくて行動に移せないシングルマザーはたくさんいます。私自身もそうでしたから、そこを一緒に考えてあげます。面談後に「これ終わりました」「これやりました」「手続き行きました」というメールをいただき、「じゃあ次はこれですね」と返す、みたいなやりとりをしていきます。段階を踏んで根気よく一緒に取り組んでいけば、それだけで相談者様の負担は格段に減らせるわけです。

Advertisement

 
「親を頼っても解決できないことがある
  1 2 3 4

    
    

インタビュー・取材記事の制作承ります

インタビュー記事は最強のオリジナルコンテンツです。
ありきたりではない記事によって
あなたのウェブサイトの検索順位を向上させます。

キニナル!人へのインタビューカテゴリの最新記事