日ごろ厳しい訓練を行い、国防の任に邁進している自衛官にも、退職後のマネー生活の悩みがあるが、お金に疎い自衛官たちが多いという。自らも自衛官OBでありながらCFP資格をもつ山田伊智郎氏は、そんな自衛官たちのライフプランをサポートするため、「自衛官生活支援会」を設立し、自衛官OBのFPやFPを目指す現役自衛官のネットワーク作りを進めている。一般の会社員などとは異なる自衛官の悩みや特徴はどんなところにあるのだろうか。
(インタビュアー:吉田久則)
「元自衛官」という異色のFP
―山田さんご自身も自衛隊出身でいらっしゃるのですね。
母がシングルマザーでお金がなかったので、防大に入り、陸上自衛隊へ行きました。仕事としては研究開発やPKOで、カンボジアや東ティモールにも行きました。
定年退職が見えてきたころに、社会保障制度やお金のことを知ろうと調べてみたら、知らないことばかりで驚いたんです。
たとえば、専業主婦が年金保険料を払わなくても年金をもらえる、国民年金の「第3号被保険者」という制度があることを初めて知って、衝撃を受けました。
世の中にはこんな仕組みがあるのかと思って、これは勉強してみようということでFPの勉強を始め、退職後も勉強を続けてCFPまで取りました。
自衛官は、かつての自分も含めて、お金のことや社会保障制度のことを知らない人が多いので、現役の自衛官に貢献したいという思いから、2019年5月に自衛官生活支援会を立ち上げました。今はまだひとりでやっているのですが、これからネットワークを作ろうと思っています。同調してくれている仲間もいますので、将来的には各駐屯地、各基地にFPをひとりずつ置いて、現役自衛官の生活を支援したいと思っています。
定年退職が見えてきたころに、社会保障制度やお金のことを知ろうと調べてみたら、知らないことばかりで驚いたんです。
たとえば、専業主婦が年金保険料を払わなくても年金をもらえる、国民年金の「第3号被保険者」という制度があることを初めて知って、衝撃を受けました。
世の中にはこんな仕組みがあるのかと思って、これは勉強してみようということでFPの勉強を始め、退職後も勉強を続けてCFPまで取りました。
自衛官は、かつての自分も含めて、お金のことや社会保障制度のことを知らない人が多いので、現役の自衛官に貢献したいという思いから、2019年5月に自衛官生活支援会を立ち上げました。今はまだひとりでやっているのですが、これからネットワークを作ろうと思っています。同調してくれている仲間もいますので、将来的には各駐屯地、各基地にFPをひとりずつ置いて、現役自衛官の生活を支援したいと思っています。
―FPは数多くいますが、前職が自衛官という方には初めて会いました。
私は、たぶんお金の長期プランを立てることが好きだったんでしょうね。家を買ったのは30代後半でしたが、その頃のノートを見てみたら、自分でキャッシュフローを作っていました。ローンをずっと返して、子どもがいつ頃に大学に入り、この辺までにローンを返し終わらないと苦しい、といったライフプランをノートに書いていたところを見ると、もともとそういうことが好きだったということなんだと思います。
―今、具体的な活動としてはどんなことをされているのですか。
基本的に自衛官からの相談業務がメインです。日本FP協会の相談員もやらせてもらいました。ホームページ経由で相談にのってほしいと依頼されることもあります。相談の内容は、住宅ローンや教育資金、老後の資金についてが多いですね。
―どんなポリシーで相談に対応していますか。
お金などの知識の手助けや相談に乗り、現役とOBの力になりたいということです。自衛隊の制度や事情、そして任務や生活環境をよく知っているOBのFPがいれば、適切なアドバイスをできるのではないかと思っています。
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