元自衛官のFPに聞いた、意外とライフプランを立てにくい自衛官のマネー事情

自衛官の悩みは、定年の早さと転勤の多さ

「<a href="https://jlife-jfp-sup.com/" target="_blank">自衛官生活支援会</a>を設立した自衛官OBの山田伊智郎さん
自衛官生活支援会を設立した自衛官OBの山田伊智郎さん

 

―自衛隊のライフプランは、一般人とはどのように違うのでしょうか。

これはあまり知られていないことですが、昨今は65歳まで雇用を延長する会社が増えているのに、自衛官の制度は、逆に50代前~後半くらいという若年のうちに退職しなければならないんです(正確には階級によって53~60歳)。自衛官の仕事は体力が必要だから、その年齢が体力の限界だろうということになっているんですね。
実際、私自身も56歳で退職しました。

―セカンドライフはどうなるのですか。

ほとんどの人は一般の会社に入って、60歳まで、運がよければ65歳まで働く人が多いようです。

―定年まで残る自衛官が普通ですか。

多くの者は定年まで勤めます。やはり自衛隊は勤め先として安定していますから、外に出てチャレンジするのはなかなか難しいと考える人が多いのかもしれませんね。

―お金に関する知識が乏しい自衛官が多いとのことですが。

公務員で雇用が安定しているので、働いているうちは困ることはありませんが、先ほど言ったようにまだ若いうちに退職しなければならないので、早くから準備する必要があります。
しかし、自衛隊というのはかなり一般とは違う世界です。営業してお客さんをとったり、利益を上げたりすることもなく、毎月支給される給料で自分の生活を維持すればいい仕事です。
自衛隊内でも、年金や退職後の制度を勉強する機会はあるのですが、実体験としてなかなかイメージがわかないから、たとえばよく知らずに一気に退職金をドーンと資産運用に入れてしまったりする人もいるんです。
国民年金は60歳まで保険料を払うものですから、定年退職した時点では満額になりません。70歳まで厚生年金に入った社会人より、もらえる年金が少なくなってしまう可能性があります。できるだけ厚生年金制度のある会社に再就職して年金を確保してくださいとブログでも訴えています。

―なるほど。年金が足りないまま過ごしてしまったり、将来設計を立てなかったり。

もうひとつ、自衛官という仕事は転勤が多いんです。そのために結構持ち出しもあって、自宅をどこにするかを決められない場合もあります。

―そんなに頻繁に転勤しなくてはいけないのですか?

幹部だと2年に1度です。

―そんなに……いまどき珍しい仕事ですね。

私自身も家族を横須賀に置いて、ずっと単身で回っていました。
横須賀にいたとき、対面で相談に乗っていた方がいたのですが、先日、与那国に転勤になって、まったく環境が変わってしまったそうです。まだお若いので、楽しんでいるようですが。
自衛官は何かあったらすぐ出動しなければならないので、一部の者は駐屯地に住んでいます。その場合は宿泊料も食事代も出ますが、外での居住が認められると、自分ですべて負担しなければならず、負担は増えます。
転勤が多いと、まず、どこに自宅を構えるかということで悩みます。気に入ったところに住もうとしても、決めきれないわけです。若いうちに家を買い、奥さんと子どもをそこに置き、自分は単身で転勤して回る人もいれば、奥さんと子どもを転勤に連れて回り、定年前後に住処を決めて家を建てる人もいます。

―ライフプランを立てにくいですね。

先日ご相談された方は、勤めは関東ですが、遠方にある出身地に住んでほしいと親から言われているそうです。婚約者もいて、その希望も大切にしたいということもあり、気持ちが揺れているようでした。
アドバイスとしては、自衛隊の貯蓄制度を使ってお金を貯めたり、つみたてNISAのような長期分散運用をして、自宅を買うためのお金を貯めた方がいいということになります。そういう生活設計をアドバイスしています。

 
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