激動の境遇からレンタルスペース事業に挑む不動産業界の「美しすぎる社長」

 

レンタルスペース成功の鍵は、物件を見分ける「目利き」

若杉さんが運営しているレンタルスペース
若杉さんが運営しているレンタルスペース

 

―レンタルスペースを始めようと思ったら、どうすればいいのでしょうか。
1年前に比べると、貸し会議室OKの物件そのものはずいぶん増えました。でもスペース投資家も増えていますから、全体としては足りていない状況です。大家さんは基本的に不特定多数の第三者が利用することを嫌がりますから、それをOKしてくれる物件を探すのが最初のハードルになります。
提携している不動産会社100社に電話しても、貸会議室の許可が出る不動産物件はほんの5件、パーティースペースとして使える物件だと1件くらい、というほど少ないのです。そしてその5件のうち私が4件を振り落としますので、いかに貸し会議室に使える物件が少ないかおわかりいただけると思います。
―そこまで振り落とす必要があるのですか。
振り落とすのは、儲かるかどうかわからない物件です。お客さんが儲かる物件でなければ契約する意味がありませんから。他社では物件を10件見つけたら10件全部を使おうとします。それは増やした方が儲かるからです。でも、私はそんなやり方で管理物件を増やすのが正しいとは思っていません。弊社に依頼してくれるスペース投資家の方々が儲かるようなレンタルスペースにしたいので、厳しい基準でチェックしているわけです。
―物件を決めたら、次は何をしますか。
物件に合わせたコンセプト作りをします。たとえは新橋などでは男性の利用者が多くなりますので、女性っぽいイメージのお部屋を作っても意味がありません。逆に大久保などでは女性利用者が多いので、男性的なスペースは合いません。そのようにターゲットを設定し、それに合うスペースを作ります。次に、たとえば歌舞伎町に近かったら24時間設定にするなど、スペースごとに適切な営業時間を設定します。
―やはり立地が重要なのですね。雑居ビル系とマンション系では、どちらの方がいいのでしょう。
女性利用者の目線ではマンション系の方がキレイですから人気がありますね。清潔感のあるビルなら雑居ビルでもいいのですが、1階の飲食店の臭いがするようなビルは女性の印象が悪くなります。
―どんなスペースが理想的なのでしょうか。
私は不動産賃貸とレンタルスペースビジネスは、まったく別ものと考えています。
不動産賃貸というのは結婚のようなもので、ちょっと外見が悪くても自分を好きになってくれる人が一人いれば結婚できる。つまり、ボロボロの戸建でも、誰かが入居してくれれば不動産賃貸業は成り立ちます。
でも、貸会議室の場合は、不特定多数の人間が利用するわけですから、誰か一人に気に入られるだけではビジネスとして成り立ちません。綺麗でみんなに人気のある外見でなければ、たくさんの人が時間単位で少しずつ使ってくれません。そんな「みんなの人気者」、アイドルであってこそビジネスとして成り立つのです。
そういう意味で、まずは見た目が重要視されると思います。物件の箱自体があまりにも汚いと、運営を続けるのはなかなか難しいと思います。そのような条件の悪い物件は、そもそも選ぶべきではないか、それなりにお金を投入して直す必要があると思います。
―今後の展開をお聞かせください。
もっとクオリティの高いスペースを作っていきたいと思っています。利用者が「このスペース、すごい!」と思ってくれるような、ブランディングされたスペースです。それには、スペース投資家の方々の協力が必要です。
スペース投資家の方々は利回りの高いスペースを作りたいと考えていますので、初期費用をなるべくかけたくありません。私たちもそういった方々のご希望に沿うように設計していきますが、本音としては、もっと利用者の方に喜んでもらえるスペースを作りたいと思っています。なかなか難しいせめぎ合いです。あまり利回りを追いかけず、長期的に存続できるスペースを作れたら幸せですが、そこはこれからの課題だと思っています。
―今後の見通しなどございますか。
この数年で一番劇的に変わったのは、やはりコロナの流行ですよね。多くの市場が影響を受け、レンタルスペース市場にも激震が走ったことは言うまでもありません。
ただ、そんな中でも、コロナ以前より利益を出しているところはあります。入っているスペースと入っていないスペースの二極化が進んでいるんです。そういう分析をしっかりせずに、何もかもコロナのせいにしていたら発展はないと思っています。
「清潔感」「換気可能」などがキーワードになって、求められるスペースの在り方も随分変わっていますので、柔軟に対応していきたいですね。そのためには、投資家さんの協力も得なければなりませんので、投資家さんとのコミュニケーションをいっそう密にして、協力体制を取っていかないといけないと考えています。
いつまでに何室増やすというような数値目標はありません。それよりもクオリティですね。投資家目線で採算性も重視し、さらに、できるだけブランディングしたスペース、利用者が居心地の良さを感じてまた使いたくなるスペースを作ることです。限られた予算の中で感動できるスペースを作りたいと思っています。世の中にひとつしかないスペースを生み出すということは、ある意味、芸術品をひとつ生み出すようなものだと思っています。ささやかながらも自分の満足のいくものを残していきたいと思っています。

インタビューを終えて
シェアエコノミーなんて、ビルなどの資産を所有している人だけのビジネスで自分には無縁と思っている人が多いのではないか。コロナ禍のために働き方の変化が加速し、副業解禁なども加速している今、若杉さんの話を伺って、レンタルスペース事業は意外と始めやすいビジネスだと思った。始めるなら、すでにレンタルスペースを運営したことがある人に話を聞くのが一番だと若杉さんは言う。芸術品を生み出すようにスペースをプロデュースしてくれる株式会社ブルーロータスに興味をもった方はぜひお問い合わせを。
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