シングルマザーのお金や生活の不安によりそうFPがいた


シングルマザーのお金や生活の不安によりそうFPがいた
ライフシンフォニア 井上美鈴さん

ここがキニナル!
離婚によっていきなり生活苦にさらされるシングルマザーにとって、お金の問題は不安が尽きない。なかなか相談する相手もいないシングルマザーの家計、仕事、養育費などの悩みに向き合い、心をこめたアドバイスを提供しているのが、ファイナンシャルプランナーの井上美鈴さんだった。
(インタビュアー:吉田 久則
※このインタビューは2020年3月(コロナ禍の直前)に行われたものです。

離婚して初めて知った「お金の不安」

 

――井上さんのご経歴を伺います。
学校を卒業してから証券会社に入り、その後、派遣会社に転職しました。バブル期で仕事はハードでしたが、お給料はすごく恵まれていた時代でした。そうした独身時代を経て、実家でもお金のことで不自由を感じたことのない人生を送ってきたのですが、結婚して、それが一変してしまったんです。元夫はきちんと収入のあるサラリーマンでしたが、生活費を入れてくれない、出産のときも退院の日に出産費用を持ってこないような人で、その後も借金が発覚したりして、初めてお金に対する不安、恐怖を感じました。
――それは……さぞかしびっくりしたでしょうね。
今考えれば甘かったわけですが、自分ごととしてそんなことが起こるなんて思っていませんでした。そういう体験をして、結果的には夫婦生活がうまくいかず、離婚を決意したのですが、いくら自分で決めたこととはいえ、日によってメンタルがすごく揺れますし、専業主婦から離婚したので仕事が見つかるかという不安もありました。
――その時点ではまだ仕事に復帰されていなかったのですね。
はい、とにかく先が見えなくて不安でした。離婚するかどうか悩んでいるときから、親や友人に相談していました。話をじっくり聞いてくれたり、一緒に解決方法を考えてくれたりと心を支えてくれて、今でも感謝しています。とはいえ、両親も友人も離婚経験者ではありませんし、婚姻費用や養育費のこと、ひとり親の制度や手当、離婚後の生活や家計のイメージなど具体的な情報はどうしても自分自身で集めていかなければなりませんでした。それで、苦しんでいたとき、つらかったときに、同じ体験をしてそれを乗り越えているような人が相談に乗ってくれたらいいな、と痛切に思ったんです。
――ロールモデルがなかったわけですね。
そういう方は周囲にまったくいませんでした。私の離婚は裁判までいったのですが、当時はまだ離婚件数が伸びるちょっと手前で、周りに経験者は少なかったですし、もしいても、当時はあまりオープンにしないような風潮でしたので、周りにロールモデルは誰もいませんでした。
――となると、自分で調べるしかない。
はい、当時はネットで検索できるような時代ではありませんので、図書館や役所を足で回ったのですが、行く先々で教えられる内容が微妙に異なっていたりして、何が本当で、自分の場合はどうやっていったらいいのかということがなかなか分からず苦労しました。
離婚後は、生計を立てるために独身の頃勤めていた証券会社に戻らせてもらい、上司から「会社の資格費用補助制度を利用して、これからのために何か資格をとっておいたほうがいい」と言われて、その候補の中にFPの資格がありました。金融機関ですから、資格を持っているとプラスになるのかもしれませんが、仕事でその資格を使うことはありませんでしたね。
その後も会社員として働き、子どもも高校くらいまでになったとき、あのときはロールモデルが欲しかったな、困っている方がたくさんいるんだろうなと思い、お役に立ちたいという思ったとき、たまたまとっていたFP資格が結びついて、よし、じゃあ独立しようと思ったんです。
――FPとして開業する前から、相談を受けたりもしていたのですか。
もちろんちゃんとした個別相談ではありませんが、離婚の経験や、シングルマザーだということは子どもの学校でもオープンにしていたので、それに関係する相談をときどき受けることはありました。
――いつのまにか離婚する人も増え、「シングルマザー」という言葉も生まれて、困っている人がたくさんいることが世の中に顕在化したわけですね。
シングルマザーの方々が持っている悩みというのは、お金のことももちろんですが、「子どもが小学校に上がるとき、他の親に離婚したことを話すべきか」とか、「必要な情報はネットでどう検索すればよいのか」とか、「書類を出すのに役所でどの窓口に並べばよいのか」とか、本当に様々です。普通の人は些細なことと思うかもしれませんが、シングルマザーにとってはそうしたことも不安の種になるのです。
――それで独立して、シングルマザーに対する相談業務を始められた。
最初は副業から始めました。ご相談を受ける中で自分でも思いが強くなってきましたし、セミナー講師のご依頼を受けることも多くなり、時間のやりくりが難しくなってきたので独立を選びました。

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