L.A.のクラブで観客を総立ちにさせたセクシーシンガー

大切なパートナーとチャレンジのこと

ジョーさんとの思い出の写真
ジョーさんとの思い出の写真

 

―キングレコード時代のことについて教えてください。
自分の人生に大きな意味をもつことがありました。
アメリカで活動していたとき、「君が日本で活動するなら、2年間だけLAを捨てて日本に行き、マネージャーとしてMeyouを売りたい」と言ってくれたエンジニアがいました。ホイットニーやマドンナのエンジニアのアシスタントをしてたジョーさんというすばらしい方です。彼は28歳だったのですが、30歳で音楽人生を終えると家族との話し合いで決めてました。その「2年」は彼にとって音楽活動最後の2年という意味になります。それで本当にその2年を私にくれて、奥さんをアメリカに置いて、ポルシェを売ったお金で日本に来て、四畳半のアパートに住んでいました。
それでキングレコードに決まったのですが、あと半年というところで彼とレコード会社のそりが合わなくなり(よくある話ですが)、レコード会社からどちらかを選べと言われてしまったんです。「僕はいずれアメリカに帰らなければならないし、Meyouはキングレコードがすごく合ってて続けた方が良いよ。だから僕のクビを切って」と彼は言ってくれました。でも私の気持ちは迷うことなく最後まで日本で彼と一緒に音楽をやりたくて、ジョー君の半年を選びました。
「makelove」(2004年、キングレコード)
半年後、彼はアメリカに帰ってメールでのやり取りになりました。音楽はきっぱりやめたけどまた一緒にやりたいなと書きあっていたのですが、彼は病気になってしまいました。結局治らず、亡くなってしまったんです。アーティストとしての私を心底愛してくれた人です。アメリカに帰ってしまうときもすごく不安だったんですが、今でも、「Meyouは悲しみも喜びも辛いことも全部を歌の栄養にできる人だから僕は心配していない、これからのMeyouがすごく楽しみだ」という彼の言葉をお守りにしています。
―最もMeyouさんの心に残る作品が生まれたそうですね。
キングレコードで出した「makelove」というアルバムはジョー君と一緒に作ったもので、とても思い入れがあるのですが、その中に「makelove」という曲が収められています。美しい小説のような曲で、今でもテンションによっては聴けるときと聴けないときがあるほど赤裸々に書いた曲です。日本ではあれ以上すごい曲はないんじゃないかと思うほど赤裸々に作りました。私にとって強烈なチャレンジでした。それを許してくれたキングレコードには感謝しています。
「make love」の歌詞が話題に
(クリックで拡大)
FMヨコハマの自分の番組でその曲をかけたら、若い男の子が「すごい曲ですね、あれはどこで買えるんですか」と質問してきたり、すごく反応がありました。面白いことに、教育委員会からも教育上よくないと連絡が来たりしました。その番組ではたくさんの曲をかけていますが、一瞬であれだけ反応があったのは初めてです。ある週刊誌で放送禁止曲としてこの曲のことを取材されて、私はインタビューで自分にとってチャレンジだったし、すごく尊い、愛のある「make love」を描いた曲だと話して、記事にしてもらったことがあります。
女性のファンの方から「Meyouさんのライブを見た翌日は、下着を買いに行ったり、化粧を変えたりすることがある」と言われることがあるのですが、そういう反応はすごくパワーを与えてくれます。すごくうれしくて。
―女性であることを思い出させてくれた、というような。
そうです。もういいやと諦めず、楽しみ続けてほしいんです。きれいになることはすごく楽しいのですから。
―その後、2006年にバンド「Jemstone」を結成されました。
バンドをやらないかという話はキングレコードの終わりくらいから来ていたんです。高校のときに自分でもバンドをやっていてバンドサウンドは好きだったので、Jemstoneを結成して活動することになりました。その後ユニバーサルレコードからソロのお話もいただいたのですが、今はバンドをやりたいからライブを見に来てくださいと言ったら、見に来てくださって、バンドもよかったからということでユニバーサルから出させていただきました。
―それから10年間はバンド活動をされていた時期ということですね。
命懸けでバンドを率いて、イベントなどいろいろやっていました。ユニバーサルには1年ほどいて、その間にはメンバーチェンジもありました。今はそんなにやっていないのですが。
―バンドで苦労したことはありませんでしたか。
各々のモチベーションが上がったり下がったりすることです。私は常に上げようとしていたんですが、人のことはなかなか難しいですね。大変ですが、そこがすごく楽しいところでもあります。
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美空ひばり、都はるみ、そして石川さゆり

 

―その間、V6などにも曲やラップの提供をされていますね。
V6の曲を作っていた知り合いのミュージシャンから、クリスマスソングのラップ部分を書いてほしいという話をいただいきました。それでラップの仮歌を入れてV6さんにやっていただきました。MAXさんには直接指導しました。ライブ用のリリースを書いて指導しました。あとは缶コーヒーのジョージアのCFで、矢田亜希子さんや米倉涼子さん、佐藤江梨子さんのラップを指導しました。
―日本のアーティストですごいと思う人はいますか。
ジャンルとはかなり違いますが、崇拝している人は美空ひばりさんです。ひばりさんのブラジル公演の動画を見たんですが、ジャズを歌ってもオペラを歌っても、何を歌っても素晴らしい。いろいろなミュージシャンから、ひばりさんがすごかった話は聞きます。レコーディングも3回歌って終わりにしたとか。もちろん直接は知りませんが、昔のビデオなどを見ると、表現力も歌唱力も、あまりやりませんがダンスも、やっぱり半端じゃないです。
―演歌歌手は発声ができているからどのジャンルを歌っても素晴らしいと言いますね。リズムの取り方などは違いますが、美空ひばりはそれもこなしてしまっている。
オペラも彼女流にこなしてしまうんです。ビヨンセもオペラを歌っていて、やっぱり天才だと思いますが、ひばりさんも本当に素晴らしいです。映像で見てそう思うのだから、実際に見たら本当にすごかっただろうと。
あと、日本のアーティストの中では、AIちゃん(友達なんですが)やクリス・ハートはすごく素晴らしいと思います。
AIさんからもらったCD帯の言葉

 

―クリス・ハートさんの歌は私も好きです。歌声がすっと耳に入ってくる。
AIちゃんもクリス・ハートも紅白にも出ていますが、2人とも演歌の方の「歌」を演られている。海外の曲も歌う特殊な方がとしては都はるみさん。あれはソウルだと言われますが、たしかにそう思います。とてつもないものを感じます。
―コブシって簡単じゃないし、ひとつの言葉にあそこまで気持ちをこめて発声できるのはすごいですよね。普通の人だと強弱のない棒のような歌になってしまいますが、演歌歌手が歌うと迫力が違う。本当にプロなんだなと思います。
曲をすごく大事にして、ひとつの作品として作り上げている思いがすごいんです。安室奈美恵さんのボイストレーニングをしていた方が、日本の音楽の全ジャンルの中で一番すばらしいのは石川さゆりさんだとおっしゃっていました。彼女も演歌の方ですよね。たしかにすばらしい表現力です。椎名林檎さんの曲を歌っていたのを聴いてすごいと思いました。
―音楽のプロとしてそう感じると。
深みと重みが違います。AIちゃんは、2017年のアルバムで帯コメントを書いてくれたんです。クリスは『上を向いて歩こう』を一緒に歌った動画などがYouTubeにあります。

そのふたりに共通しているのは、歌への思いが本当に深いんです。ふたりともスターになる前から知っていますが、スターになってもそれは変わりませんね。
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