現実の世界でこそ、ときめきを見つけてほしい
――どういった生徒さんが多いのですか?
小・中・高の生徒さんを対象に授業をやっていますが、メインは小学生ですね。保護者の方の中にも、興味があると言って見学しに来られる方がたくさんいます。
――そうなんですね。保護者の方向けの授業というのもあるのでしょうか?
さすがにそれはなくて、子ども向けにやっている授業を後ろで見て、そこで保護者も興味を持つといった感じです。
――面白そう。私、じつは中学生の子どもの母なのですが、やっぱり子どもに興味を持たせるためには、小学生のうちから始めないと難しそうですね。
中学生からでも大丈夫ですが、そのころには高校受験もあるし、学校の定期テストもあって、余裕がなくなってしまうんです。小学生も中学受験をする場合もありますが、まだ『探究』をする余裕があるんです。
――ああ、もう少しこの話を早く知っていればと、今、悔やんでいます。生徒さんからはどのような感想がありますか?
自由で、自分のスタイルで参加できるところが、『学校の授業と違って楽しい』と言ってもらっています。
――それはなにより! 授業受けている子たち、みんな笑顔でしたものね。教えていく上で、変わった反応をする子などもいましたか?
そういうエピソードは、枚挙にいとまがないほどあります。たとえば、恐竜にすごくハマった子がいて、1000年分の歴史を自分で表にして、写真も貼って、コメントも入れて作ってくれました。
この実物を見せてもらったのですが、20mほどの横長の紙に、写真やコメントがびっしりと詰まって、写真では納まらないほどでした。すごい熱中ぶりが伝わってきます。
博物館に行くようになったということをよく聞きますね。恐竜や元素は博物館にもたくさん展示してありますから。でも、そういったものは、知らずに見に行っても、よくわからないから、あまり面白くない。授業を通して世界観や基本を学んだ後に行けば、とても楽しめるようになります。そういう姿を見ると、ちょっと『しめしめ』と思ったりします。
――お子さんがいる家庭はどこでもそうだと思いますが、今の子どもたちは、YouTubeやマンガ、テレビゲームなどの世界にすごく時間を奪われていますよね。子どもの頃はそういったことが楽しくてしかたありませんでしたが、大人になってみると、すごくもったいないことをしたような気がします。
子どもというものは、いつも驚きや感動を求めているんです。『クレヨンしんちゃん』や『ドラえもん』に惹かれるのは、そこに驚きと感動があるからです。でも、そういった世界は全部フィクション、作り話ですから、そこで感動しても人生は変わりません。それなら現実の世界にときめいたほうがいいわけです。宇宙、プログラム、自動車、何でもいいのですが、現実の世界から、自分がときめくものを見つけて夢中になっていけば、その先には『さかなクン』のような将来が待っているかもしれない。僕はそういうことを具体的に提案してあげたいんです。今、それが少しずつ現実になって、『宇宙くん』や「元素くん』がうちで生まれている。お風呂に入っていても元素のことを考えている子がいて、その子は、あきらかに、元素にときめいているわけです。
――たしかに、親としては、何か実になるものに夢中になってほしいという気持ちはありますね。自分が子どもの頃は、フィクションにばかり夢中になっていたわけですから、あまり強くは言えませんが。
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