お城の「家老」として活躍する。
この働き方は古いのか、新しいのか。

「日本一面白い城にする」という壮大な計画

尼崎城(お城の「家老」として活躍するという働き方。この働き方は古いのか、新しいのか。)
尼崎城全景

 

――尼崎市は関西で「住んでみて良かった」地域のトップだとか。尼崎の良さはどんなところなんでしょう。
私は西宮市生まれで、武庫川を隔てた尼崎は、身近ではあっても「よく知らない場所」でした。尼崎城の仕事をすることになって神戸から引っ越してきたら、ものすごく便利なことがわかりました。名神高速や阪神高速の入り口がすぐ近くで、新大阪駅や伊丹空港にもすぐに行ける。阪急・JR・阪神電鉄が通っていて、大阪や神戸へのアクセスも抜群です。商店街や大型の商業施設などもたくさんあります。
――兵庫県なのに、市外局番が大阪と同じ「06」って本当ですか。
本当です。経済圏がほぼ大阪だから「06」の市外局番を買ったそうです。阪神タイガースも甲子園が本拠地なので、ある意味西宮(兵庫県)の球団ですが、甲子園も含めて全国的には大阪だと思われています。このあたりはそうした場所なのかもしれませんね。
――「忍たま乱太郎」作者の尼子騒兵衛さんも尼崎ご出身ですよね。
尼子騒兵衛さんはご近所にお住まいで、講演などもしていただいています。尼崎は「忍たま乱太郎」ファンの「聖地」です。アニメの原作漫画「落第忍者乱太郎」では、忍者の名に尼崎の町名が使われています(私は下坂部町に住んでいるのですが、「下坂部平太」というキャラが出てきます)。これからは「落第忍者乱太郎」と連携した展示や企画もできそうですね。
――大西さんがお城を通じて伝えたいことは何ですか。
姫路城や彦根城のような国宝級のお城は、昔の歴史をそのまま背負っているお城です。歴史を垣間見ることができる、とても大切な存在です。尼崎城は再建された新しいものですから、そうした役割とはまた違います。駅から5分で来られて、天守の最上階までエレベーターで行けます。文化庁にも関係ありませんので、新しい企画や発信もすぐにできます。お客様のお声などにもすぐに対応できます。これからは、尼崎城の歴史はもちろん、尼崎全体のPRにも更に貢献していきたいですね。また、地域との連携もさらに深化させていきたいと考えています。
――これからどんな企画を立ち上げますか。
これまで語り尽くされていなかった尼崎の歴史を、再建されたお城によって子どもたちにより身近に感じてもらい、もっと学んでいただけるようにしたいです。市民のシビックプライドを醸成していきたい。課外学習などで使っていただいたり、卒業アルバムの記念撮影場所としても使っていただきたいです。いつまでも残るものですから、定期的に思い出していただけます。
尼崎城を日本一面白いお城、今よりもさらに歴史が学べて十分に遊べる場所にしたいですね。全国に先駆けてお城の良さをスピード感を持って街の活性化につなげたい。私たちもお手伝いして、各地にお城の活性化をプロデュースする「お城のプロ」が育てばいいと思うんです。呼んでいただければどこにでも行きます。
――大変興味深いお話をありがとうございました。

インタビューを終えて

全国に「お城で働いている人」が何人いるかは分からないが、「家老」の肩書で働いている人は少ないだろう。尼崎城を「日本一面白いお城にする」と断言された大西家老。市外局番「06」の尼崎市にある、都会型のお城らしい目標ではないか。このお城は、単なるランドマークやシンボルではなく、有機的に世代を超えて人と人とをつなげていく装置であった。かつての名CMプランナーは、尼崎城を舞台につねに面白いこと、かつて誰もやっていないことを考えている。尼崎城がリードして、全国のお城がさらなる「よりどころ」、そして「共生の場」になっていく日も近いと思った。

(写真:河北航太)
1 2 3 4

    
    

インタビュー・取材記事の制作承ります

インタビュー記事は最強のオリジナルコンテンツです。
ありきたりではない記事によって
あなたのウェブサイトの検索順位を向上させます。

キニナル!人へのインタビューカテゴリの最新記事