バレエダンサーは身体で喋る? 動きの表現バレエにも語彙力は必要だった

バレエダンサーは身体で喋る? 動きの表現バレエにも語彙力は必要だった

「踊れる看護師さん」になりたかった

貞松・浜田バレエ団「海賊」撮影:岡村昌夫(テス大阪)

 

― バレエをしていなければどんなことをされていましたか。
看護師や鍼灸師になりたかったです。やはり身体そのものに関係することに興味があったので。本当は「踊れる看護師さん」になりたかった(笑)。高校に入ってからはバレエを続けながら鍼灸師になれないかと思っていました。今のピラティスやマッサージにも関連していますね。
― バレエの世界にも世代交代というのはあるのでしょうか。
欧州の国立団では42歳などの「定年」がありますが、日本では、演目によってはあるとは思いますが、団の方針や演出でキャスティングが決まるので、ダンサー側から「世代交代だ」ということはありません。大人でないとできない役もありますし、若い人がやった方がよい役もあります。
― 古典芸能には、「伝統」の保守と「革新」的な取り組みの両方が必要だと思うのですが。
古典の演目では、演出や振り付けの形で「○○版」と呼ばれるような作品にすることができます。権利関係などの問題もあり、新作の方が変えにくいのかもしれませんね。
― 習いごととしてのバレエは、今後どのようになっていくとお思いですか。
やはり習ったことをきっかけにバレエを好きになってほしいです。大人になっても好きなままでいて、自分の子どもにも習わせたり舞台を見に行ったり、日常の中で親しんでほしい。そういう人が少しずつでも増えていけばうれしいです。言葉を使わないバレエは、容易に国境の壁を超えられます。感受性も豊かになり、想像力と創造力が身につき、自分自身を表現できる人になります。ついでに姿勢もよくなります(笑)。
― 今後の抱負は。
踊りを通じて、いつまでも誰かを癒し支えることのできる人になっていきたいです。
近いところでは3月19日の「創作リサイタル」(神戸文化ホール)に出演します。スペイン、ノルウェー、日本の気鋭の振付家の演出による3作品を上演します。私も3つとも出演します。森優貴さんの「囚われの国のアリス」ではアリス役です。全員がすごく集中して、研ぎ澄まされた舞台になります。
「囚われの国のアリス」 撮影:岡村昌夫(テス大阪)

 

インタビューを終えて
バレエ「海賊」公演では手話とバレエ表現の説明があり、双方に似たような表現が多いことを知った。落語という芸は、座布団の上から一歩も動かずに、時間や空間を超えてどこにでも話をもっていけるが、バレエは、話さないことによって言葉や国境の壁を越え、より多層な人にその表現を伝えることができる。美しいもの、情愛の模様、そして人間の業をダンスと音楽によって表現する総合芸術で、壮大なミュージカルだった。
現代は、お金と電気がないと楽しく時間が過ごせない人が多い時代だが、踊りには本来的にそのようなものは不要だ。バレエとは伝える、楽しむ、そして生きることの原初の形であることを、榛名さんのお話に見出すことができた。言葉を使わずに想いや愛情を表現し、ドラマを生み出すバレエこそ、今私たちが観るべきものではないだろうか。

上山 榛名
2008年、ジュニアフェスティバルで「バヤデルカ」のニキヤを踊り、入団。
2009年、ジュニアバレエ団公演「白鳥の湖」全幕でオデット姫。
バレエ団公演「くるみ割り人形」「眠れる森の美女」「ジゼル」、バランシン振付「セレナーデ」、堤悠輔振付「無夢想」(ソロ)などを踊る。
ひょうごインビテーショナル北京ダンスアカデミー来日公演に出演。2006のじぎく兵庫国体開会式でリードダンサーを務める。

受賞歴
こうべ全国洋舞コンクール ジュニア1部 第2位&第4位
こうべ全国洋舞コンクール シニアの部 第5位
ザ・バレ・コン大阪 シニアの部 第2位&大阪府知事賞

創作リサイタル33
「波」(世界初演)
「Malasangre」(日本初演)、
「囚われの国のアリス」

日時:2022年3月19日(土)15時~
場所:神戸文化ホール・中ホール
お問い合わせ:078-861-2609(貞松・浜田バレエ団)
       http://sadamatsu-hamada.fem.jp/

 

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